ほしうらない

よく見たら、この人サンダルだ。
私は人に足を踏まれるのが怖くてスニーカーで来たのに。

「駅近くの洋食屋に予約取った」
「え、仕事早いですね」
「仕事じゃない、遊び」

それからまたしても有明さんは眠る体勢に入った。

私は諦めて、正武さんにメッセージを送った。何かをしていないと、心の中にある大きな暗いものに押し潰されてしまいそうで、怖かった。

『有明さんが寝てしまいました』
『有明さんって寝るんですね』

正武さんの言葉に「たしかに」と呟く。

どんなに怠そうにしていても、飲み会でさえ寝ているところは見たことがない。

< 13 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop