嘘と本音の距離
月蝕の檻
冷たいコンクリートの床が、るなの頬にひしと触れた。男装のための白いワイシャツは汗で透け、もはや防御にならない。彼女は唇を噛み、セーザーの影が自分を覆うのを感じた。
「……やめて」
声は震え、男言葉の仮面は剥がれていた。セーザーは無言で跪き、革手袋を外す。指の関節が軋む音が、るなの鼓膜を刺す。
「あ……」
突然の侵入に、るなの背筋が跳ねた。二本の指が、彼女の最も脆い部分を探り当てる。鈍い疼きと、自分でも認めたくない快感が混ざり、視界が滲む。セーザーの呼吸だけが、不必要に耳に近い。
「恥ずかしい……そんなところ……見ないで……」
るなが涙で瞼を閉じた瞬間、指が引き抜かれた。次の刹那、鉄の味が口の中に広がった。自分の体液とセーザーの指紋が、舌の上で絡み合う。
「……汚い」
彼女が呟くと、初めてセーザーが微かに笑った。月光が差す廃屋で、男装少女の誇りは、静かに蝕まれていった。
「……やめて」
声は震え、男言葉の仮面は剥がれていた。セーザーは無言で跪き、革手袋を外す。指の関節が軋む音が、るなの鼓膜を刺す。
「あ……」
突然の侵入に、るなの背筋が跳ねた。二本の指が、彼女の最も脆い部分を探り当てる。鈍い疼きと、自分でも認めたくない快感が混ざり、視界が滲む。セーザーの呼吸だけが、不必要に耳に近い。
「恥ずかしい……そんなところ……見ないで……」
るなが涙で瞼を閉じた瞬間、指が引き抜かれた。次の刹那、鉄の味が口の中に広がった。自分の体液とセーザーの指紋が、舌の上で絡み合う。
「……汚い」
彼女が呟くと、初めてセーザーが微かに笑った。月光が差す廃屋で、男装少女の誇りは、静かに蝕まれていった。