婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「今すぐは無理ですけど、ギデオン様が望むなら、なんとかしてみます」
「では、頼む。定期的に集落代表の者と言葉を交わせば、互いに助け合いやすくなるだろう? 例えば、この集落の近くにはゾラの集落がある。俺が駆けつけるよりそちらから応援を頼んだほうが早い」
 ハリウスは、うんうんと頷きながら話を聞いていた。結果、『でんわ』の試作品をペレの集落で使ってもらうことにした。そうと決まれば、エステルもがぜんとやる気が出てきて、早くアビーに相談したくて仕方なかった。
 だがセリオだけは、この話に交ざってこなかったのが気になった。
 その後、ハリウスから近況を聞いたギデオンは、エステルたちに集落を案内すると言う。
「先ほども言ったように、あの川は魚が豊富に獲れる。ちょうど、漁が始まる頃だから行ってみよう」
 ギデオンの案内で、エステルとセリオは川のほうへと向かった。
「セリオさん、どこか具合が悪いのですか?」
 エステルは、ハリウスの家で、ずっと黙り込んでいたセリオのことが気になっていた。 
「いや……別に……」
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