婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「その件については、民らにもきつく言いつけている。決して外で『でんわ』を使わないこと。外からやって来た者に聞かれても、知らないと言い通せ。もしくは、俺の名前を出しておけとな。エステルやアビーの名を出すのは禁じている。ここの貴重な魔導職人だからな。ここより高い賃金を提示され、他所に引き抜かれたら困る」
 ギデオンの口調は相変わらず固いが、今の言い方はエステルを安心させようとしているのだろうというのが伝わってきた。
「とにかく、『でんわ』を狙っている者の素性がよくわからない。俺のところに直接聞きに来た勇敢な者もいないしな」
 そう言ったギデオンは、再びナイフを動かし始める。
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