婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「とにかく、俺が戻ってきたからアーノルドは俺の護衛に戻す」
「えぇ? 明日からは本物が学園に通う?」
「当たり前だ。なんだ? 俺よりもアーノルドのほうがいいのか?」
「だって、彼。反応が初心なんだもん」
 やはりアーノルドには特別給金を上乗せしておこう。
「おまえのアホなことに突き合わせるために、彼をおいていったわけではないからな。この野郎」
 セドリックは手元にあったクッションをジュリアンに向かって投げつけた。身体をすっかりと横にしてくつろいでいるジュリアンに逃げる術などあるわけがない。
 ぼふっと鈍い音がして、ジュリアンの顔に命中した。
「おまえ、鈍ったんじゃないのか?」
「そうだな。あっちのセディはこんな乱暴なことをしないしね。もう、あっちが本物でこっちが影武者でいいんじゃない?」
 顔にあたったクッションを引きはがしながら、ジュリアンは答えた。
 そんなくだらないやり取りをした後、情報交換をし、セドリックは王城に向かう。
「えぇ? セディ、帰っちゃうの? 一人じゃ寂しい。そっちのセディを置いていって」
 帰り際、ジュリアンに引き止められそうになったアーノルドは、心底嫌そうな顔をしていた。
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