婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
そう言ってハンナが目を光らせる。
「でも、ハンナの言うとおりね。ここにはお父様もお母様もお兄様もいない。それに……学園に通う必要もない。これって、私の好きにしていいってことよね?」
こちらに来るまではどんよりと沈んでいた気分も、少しずつ浮上し始める。
「こちらにご迷惑をおかけしない程度にお願いします」
「わかったわよ」
少し不貞腐れて頬を膨らませたが、エステルの心はどこか吹っ切れた。
家族のいない場所だが、それを決めたのは自分だ。何よりも、父が面白いと評した女性魔導職人に会い、教えを乞うのが目的である。
「楽しみだわ」
「何がですか? 辺境伯とお会いすることがですか?」
「違うわよ。お父様がおっしゃっていた、魔導職人。早く、紹介してもらわなくちゃ」
早く新しい楽しみを見つければよいのだ。セドリックのことを忘れるくらい楽しいことを――。
「でも、ハンナの言うとおりね。ここにはお父様もお母様もお兄様もいない。それに……学園に通う必要もない。これって、私の好きにしていいってことよね?」
こちらに来るまではどんよりと沈んでいた気分も、少しずつ浮上し始める。
「こちらにご迷惑をおかけしない程度にお願いします」
「わかったわよ」
少し不貞腐れて頬を膨らませたが、エステルの心はどこか吹っ切れた。
家族のいない場所だが、それを決めたのは自分だ。何よりも、父が面白いと評した女性魔導職人に会い、教えを乞うのが目的である。
「楽しみだわ」
「何がですか? 辺境伯とお会いすることがですか?」
「違うわよ。お父様がおっしゃっていた、魔導職人。早く、紹介してもらわなくちゃ」
早く新しい楽しみを見つければよいのだ。セドリックのことを忘れるくらい楽しいことを――。