婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
この場で泣いてはいけない。それがエステルのせめてものプライド。
「わかりました……今まで、ありがとうございました。失礼します」
エステルは深く頭を下げた。一瞬でも気を抜けば、涙がこぼれてきそうだったが、悔しいから絶対に泣くものかという意地もある。
頭を上げてはみたが、セドリックに視線を向けずに、生徒会室を後にした。
教室に戻って、持てるだけの荷物を手にする。
「ごきげんよう、エステル様……?」
すれ違う学友が挨拶をしても、エステルは片手をあげて返すだけで精一杯。彼女もエステルの様子がおかしいと思ったのか、それ以上、声をかけてくるようなことはなかった。
その日はどうやって帰ってきたのか覚えていない。ただ自室のベッドに潜り込み泣き続けた。それは両親が心配するほどに。
「わかりました……今まで、ありがとうございました。失礼します」
エステルは深く頭を下げた。一瞬でも気を抜けば、涙がこぼれてきそうだったが、悔しいから絶対に泣くものかという意地もある。
頭を上げてはみたが、セドリックに視線を向けずに、生徒会室を後にした。
教室に戻って、持てるだけの荷物を手にする。
「ごきげんよう、エステル様……?」
すれ違う学友が挨拶をしても、エステルは片手をあげて返すだけで精一杯。彼女もエステルの様子がおかしいと思ったのか、それ以上、声をかけてくるようなことはなかった。
その日はどうやって帰ってきたのか覚えていない。ただ自室のベッドに潜り込み泣き続けた。それは両親が心配するほどに。