森の運び屋 花園急便─運んだ荷物は毒リンゴ─
「ここにいたらいいと思います。彼らも嬉しいですよ、きっと。」
小人たちは美しい女性に目がない。マリー様の存在は、やる気の源になっていることだろう。
「小人たちにはずいぶんと助けられました。でも、出ていきます。これ以上、迷惑をかけられません。」
「どこへ行かれるのですか?」
「国へ戻ります。」
「国へ戻ったらマリー様は……」
「逃げてるだけでは国を救えません。国へ戻って全て話すつもりです。私がこの目で見た真実を。」
「何を見たのですか?」
「今の王妃は魔女なのです。母を殺し、私の国を……」
話している途中で、マリー様は突然よろよろと立ち上がった。
「マリー様?」
「まぁ、なんて美味しそうなリンゴなのかしら。」
マリー様は、リンゴをうっとりと眺めている。リンゴはみるみる変色して、紫色に染まっていく。
(まさか……)
「私、これが食べたかったの。」
「マリー様!」
紫色のリンゴを取り上げようとしたが、マリー様は、俺の手をかわしてリンゴを齧ってしまった。
マリー様の体がぐらりと傾き、紫色のリンゴが手から滑り落ちた。割れたリンゴからは、怪しげな煙が立ち昇っている。
「間違いない。魔女の毒だ……」
俺は胸ポケットの中から解毒剤を取り出して、マリー様の口に流し込んだ。すると、7人の小人たちの呑気な歌声が聞こえてきた。
「おや、花園急便さん。今日は何も頼んでいませんが?」
「え、マリー様!マリー様がぁぁ!?」
「花園急便さんがマリー様を殺し……」
「違います。毒リンゴを食べて倒れてしまわれたので、薬を飲ませただけです。」
「ど、毒リンゴ!?」
俺は森の運び屋『花園急便』。どんな物でも届けるけれど、人を殺す目的で利用されるのは許せない。俺はリンゴの入った茶色い箱を持ち上げた。
「マリー様をお願いします。」
「行かれるのですか?」
「はい。危険物はお預かりしないと決めているので。」
俺はマリー様を託して、小人の家を後にした。
小人たちは美しい女性に目がない。マリー様の存在は、やる気の源になっていることだろう。
「小人たちにはずいぶんと助けられました。でも、出ていきます。これ以上、迷惑をかけられません。」
「どこへ行かれるのですか?」
「国へ戻ります。」
「国へ戻ったらマリー様は……」
「逃げてるだけでは国を救えません。国へ戻って全て話すつもりです。私がこの目で見た真実を。」
「何を見たのですか?」
「今の王妃は魔女なのです。母を殺し、私の国を……」
話している途中で、マリー様は突然よろよろと立ち上がった。
「マリー様?」
「まぁ、なんて美味しそうなリンゴなのかしら。」
マリー様は、リンゴをうっとりと眺めている。リンゴはみるみる変色して、紫色に染まっていく。
(まさか……)
「私、これが食べたかったの。」
「マリー様!」
紫色のリンゴを取り上げようとしたが、マリー様は、俺の手をかわしてリンゴを齧ってしまった。
マリー様の体がぐらりと傾き、紫色のリンゴが手から滑り落ちた。割れたリンゴからは、怪しげな煙が立ち昇っている。
「間違いない。魔女の毒だ……」
俺は胸ポケットの中から解毒剤を取り出して、マリー様の口に流し込んだ。すると、7人の小人たちの呑気な歌声が聞こえてきた。
「おや、花園急便さん。今日は何も頼んでいませんが?」
「え、マリー様!マリー様がぁぁ!?」
「花園急便さんがマリー様を殺し……」
「違います。毒リンゴを食べて倒れてしまわれたので、薬を飲ませただけです。」
「ど、毒リンゴ!?」
俺は森の運び屋『花園急便』。どんな物でも届けるけれど、人を殺す目的で利用されるのは許せない。俺はリンゴの入った茶色い箱を持ち上げた。
「マリー様をお願いします。」
「行かれるのですか?」
「はい。危険物はお預かりしないと決めているので。」
俺はマリー様を託して、小人の家を後にした。