初夜に暗殺された王女は魔獣の国で再起する~魔獣の国の王の求愛がとまりません


キルギアに来て一月が経とうとしている。

仕立て屋はすぐに大量の召物を仕立ててくれたが、もう王女でもない自分が何の見返りもなくこんなにたくさんのドレスや靴をもらうわけにはいかない。進言したけれどデュランダルは必要経費だろうと言って譲らなかった。
だが、王女の教育係がぼろぼろのドレスでいるわけにもいかないので何も言わずに受け取ることにした。

先日は三人目の側近のメルディスと初対面したが、どうやらとても警戒されているようだ。
ラインハルトも柔和に接してくれてはいたが、内心は警戒心のかたまりのようで、陛下とこの国に何かあったら大変だとばかりにシェリアを目の敵にしていたようだ。けれど真摯に接していたからかようやく少しは打ち解けて話せるようになってきた気がしている。
まぁでもまだまだ警戒は解けないだろう。

当たり前だ。
もともとはオルベリアの王女なのだから。

新聞は毎日チェックしているが、オルベリアの評判は日に日に悪くなっている。
せっかく立て直した国だったのに…
少しずつ国民も王家を信用するようになってくれていたのに…

キルギアに住む以上この国の民の生活も見てみたいと思う。
だが、デュランダルが許してくれない限り城を出ることはできない。

いずれにしても自分はもうキルギアの国民だと思っている。
すでに王族貴族でもないし、もう戸籍すらない亡霊のような自分を置いてくれるといったデュランダルには感謝しかない。
国王の秘書という肩書ももらった。
この国のために頑張るのみだ。
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