月夜に吠える、君の名を
第13話 炎の向こう側
「健!」
(あなた)が手を伸ばすと、その指先のすぐ前で彼の背がぐんと伸び、毛が逆立った。
骨の形が変わる音が、耳の奥まで響く。
それはもう、人間とは言えない姿だった。
月光に照らされ、銀色に輝く毛並み。
鋭い牙と、血のように赤く染まった瞳。
健は喉の奥から低く唸り声を漏らし、(あなた)を見た。
でも……
その視線には、わずかに人間の迷いが残っているように思えた。
その時、背後から怒声が飛んだ。
【おったぞ!あれが化けオオカミや!】
松明の炎が揺れ、犬たちが一斉に吠え立てる。
健は咄嗟に(あなた)を背に庇い、牙を剥いた。
村人たちの目には、(あなた)も化けオオカミの仲間に見えたのかもしれない。
《女も一緒におる!捕まえろ!》
炎が迫り、犬の鎖が外される音が響く。
健は一歩、二歩と後ずさりしながら、(あなた)を抱きかかえた。
そのまま、黒い影のように森の奥へ飛び込む。
背後で犬の鳴き声と怒号が遠ざかっていく。
でも、(あなた)の耳には健の心臓の音がはっきり聞こえた。
ドクン、ドクンと、異様な早さで脈打っている。
『……アカン……もう、俺……』
健の声は掠れ、唸り声に混じっていた。
その瞳は、獲物を狙う獣のそれに近づきつつあった。
(あなた)が手を伸ばすと、その指先のすぐ前で彼の背がぐんと伸び、毛が逆立った。
骨の形が変わる音が、耳の奥まで響く。
それはもう、人間とは言えない姿だった。
月光に照らされ、銀色に輝く毛並み。
鋭い牙と、血のように赤く染まった瞳。
健は喉の奥から低く唸り声を漏らし、(あなた)を見た。
でも……
その視線には、わずかに人間の迷いが残っているように思えた。
その時、背後から怒声が飛んだ。
【おったぞ!あれが化けオオカミや!】
松明の炎が揺れ、犬たちが一斉に吠え立てる。
健は咄嗟に(あなた)を背に庇い、牙を剥いた。
村人たちの目には、(あなた)も化けオオカミの仲間に見えたのかもしれない。
《女も一緒におる!捕まえろ!》
炎が迫り、犬の鎖が外される音が響く。
健は一歩、二歩と後ずさりしながら、(あなた)を抱きかかえた。
そのまま、黒い影のように森の奥へ飛び込む。
背後で犬の鳴き声と怒号が遠ざかっていく。
でも、(あなた)の耳には健の心臓の音がはっきり聞こえた。
ドクン、ドクンと、異様な早さで脈打っている。
『……アカン……もう、俺……』
健の声は掠れ、唸り声に混じっていた。
その瞳は、獲物を狙う獣のそれに近づきつつあった。