月夜に吠える、君の名を
第12話 白銀の夜
それから数日。夜空に浮かぶ月は、日ごとに丸みを増していった。
村人たちは家畜の件を忘れてはいない。
夕暮れになると、あちこちの家から扉を閉める音と、鍵をかける金属音が響く。
そんな中、健の様子がおかしかった。
夕方を過ぎると、額から汗を滲ませ、呼吸が荒くなる。
『……暑い……体が……』
そう言って苦しそうに胸元を掻きむしる。
爪は以前より鋭く、指先からは小さな血が滲んでいた。
「健、もう外に出ない方がいい」
紗羅が、そう言うと健は唇を噛み、視線を逸らした。
『……でも、逃げんとあかん。あの連中……俺を見つけたら殺す』
その夜、窓の外から小石が当たる音がした。
覗くと、村人たちが松明を手に山へ向かっているのが見える。
犬を連れている者もいた。
「健、村人たちが……あなたを……」
言い終わる前に、健は息を荒くし、獣のような目で空を見上げた。
満月が、雲間から顔を覗かせる。
次の瞬間、背骨が軋むような音がして、健は膝をついた。
『う……ぐ……っ!』
耳が伸び、歯が鋭く変わり、皮膚の下で筋肉が膨張する。
紗羅の目の前で、健の人間の姿が崩れ始めた。
村人たちは家畜の件を忘れてはいない。
夕暮れになると、あちこちの家から扉を閉める音と、鍵をかける金属音が響く。
そんな中、健の様子がおかしかった。
夕方を過ぎると、額から汗を滲ませ、呼吸が荒くなる。
『……暑い……体が……』
そう言って苦しそうに胸元を掻きむしる。
爪は以前より鋭く、指先からは小さな血が滲んでいた。
「健、もう外に出ない方がいい」
紗羅が、そう言うと健は唇を噛み、視線を逸らした。
『……でも、逃げんとあかん。あの連中……俺を見つけたら殺す』
その夜、窓の外から小石が当たる音がした。
覗くと、村人たちが松明を手に山へ向かっているのが見える。
犬を連れている者もいた。
「健、村人たちが……あなたを……」
言い終わる前に、健は息を荒くし、獣のような目で空を見上げた。
満月が、雲間から顔を覗かせる。
次の瞬間、背骨が軋むような音がして、健は膝をついた。
『う……ぐ……っ!』
耳が伸び、歯が鋭く変わり、皮膚の下で筋肉が膨張する。
紗羅の目の前で、健の人間の姿が崩れ始めた。