月夜に吠える、君の名を
第16話 月影の境界線
「健……」
紗羅は恐る恐る、その額に手を伸ばした。
毛並みはまだ逆立ち、熱を帯びている。
それでも……震えていた。
『俺は……また、紗羅を……』
低くかすれた声が、獣の喉から零れ落ちる。
その瞬間、紗羅の胸に刺さるような痛みが走った。
「いい。私、ここにいるから……」
そう言って頬をなぞると、健はゆっくりと紗羅の上から退いた。
重みが消え、紗羅はようやく息を吐く。
だが……
『……アカン』
健は両手(半分は爪のまま)で顔を覆った。
『次、我慢できる自信……ない』
その声には、人間の理性と獣の渇きがせめぎ合う響きがあった。
夜風が吹き抜け、二人の間に月明かりが差し込む。
『俺……やっぱ、お前のそばおったら……危ない……。』
そう言い残し、健は踵を返し、林の奥へと消えようとする。
「待って!」
叫んで手を伸ばした時……
ガサリ、と茂みが揺れ、低い声が響いた。
〔……やっと見つけたぞ、化けオオカミ〕
見知らぬ男が、銀色の短剣を手に立っていた。
その刃先は、真っ直ぐ健へ向けられていた。
紗羅は恐る恐る、その額に手を伸ばした。
毛並みはまだ逆立ち、熱を帯びている。
それでも……震えていた。
『俺は……また、紗羅を……』
低くかすれた声が、獣の喉から零れ落ちる。
その瞬間、紗羅の胸に刺さるような痛みが走った。
「いい。私、ここにいるから……」
そう言って頬をなぞると、健はゆっくりと紗羅の上から退いた。
重みが消え、紗羅はようやく息を吐く。
だが……
『……アカン』
健は両手(半分は爪のまま)で顔を覆った。
『次、我慢できる自信……ない』
その声には、人間の理性と獣の渇きがせめぎ合う響きがあった。
夜風が吹き抜け、二人の間に月明かりが差し込む。
『俺……やっぱ、お前のそばおったら……危ない……。』
そう言い残し、健は踵を返し、林の奥へと消えようとする。
「待って!」
叫んで手を伸ばした時……
ガサリ、と茂みが揺れ、低い声が響いた。
〔……やっと見つけたぞ、化けオオカミ〕
見知らぬ男が、銀色の短剣を手に立っていた。
その刃先は、真っ直ぐ健へ向けられていた。