涙のあとに咲く約束
 食事のあと、玄関まで見送ってくれた藤堂さんが、小さく息を吐いた。
 
「……母さん、余計なこと話しただろ」

「……少しだけ。でも、聞けてよかったです」
 
 私の言葉に、彼は目を伏せる。
 
「別に、同情なんかしてほしくない」

「同情じゃないです」
 
 思わず、言葉が強くなる。
 
「ただ……あなたがどれだけ真一くんを大事にしてるか、わかりましたから……」
 
 沈黙が落ちる。彼の視線が、私の奥を探るように揺れた。
 
「……ありがとう」
 
 それは、かすかに震えていた。

 藤堂家の玄関を出た私は、夜空を仰ぐ。
 夜風が頬を撫でる中、私は歩き出した。

 藤堂さんの背負ってきたものを、すべて理解できるわけじゃない。けれど、その重さごと抱きしめられるような人間になりたいーーそんな願いが、胸の奥で静かに灯っていた。
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