涙のあとに咲く約束
「ん?」
 
 その穏やかな声に、心が揺れる。迷って、揺れて、それでもーー今日はもう、後戻りできない。

「私……藤堂さんのことが好きです。あなたと、真一くんと、一緒に生きたいです」
 
 胸の奥から絞り出すように言葉を吐き出した。
 藤堂さんの表情が、一瞬だけ固まる。
 それから、彼は小さく息を吐いて、私から目をそらした。

「俺は……、君まで巻き込みたくない」
 
 その声は低く、抑えられていた。

 わかっていた。そう言われるだろうことも。
 彼は優しいから、きっと自分の痛みを誰にも背負わせまいとする。だからこそ、私はーー

「でも……」
 
 言いかけたその瞬間、こちらに向かってくる足音が聞こえた。
 振り返ると、ソファーで眠っていたはずの真一くんが、目をこすりながらこちらにやって来る。
 
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