涙のあとに咲く約束
 その日の夕方、私は藤堂さんの家でハンバーグを作った。
 真一くんのリクエストだ。
 玉ねぎを炒めていると、背中越しに低く落ち着いた声がした。
 
「本当に、助かってるよ」

「助けるっていうより……私も楽しいんです。真一くんと、藤堂さんと過ごす時間」
 
 そう振り返って言うと、彼がわずかに目を見開き、それから照れくさそうに視線を外した。
 
 ーーあ、少し耳が赤い。
 その反応に、胸の奥が温かくなる。

 
 夕食後、真一くんはあっという間に眠ってしまった。
 リビングで紅茶を飲みながら、静かな時間が流れる。
 
「……こういうの、いいですね」

「こういうの?」

「何でもない、ただ一緒にいるだけの時間」
 
 私の言葉に、彼は湯気の向こうで小さく笑った。でもその笑みの奥に、何かを堪えているような影が見えた。

 ーーきっと、心の中で何かが揺れている。
 そのことを思うと、なぜだか鼓動が少し早くなった。


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