恋愛はカットがかかったその後で

意地悪な同僚

「休憩時間にまで仕事か?」
 
 キーボードを打っていた手を止め、顔を上げる。そこには、青いカッターシャツに身を包んだ男性が不満げな顔で立っていた。

 「…別に。私の休憩時間なんだから、どう使うかは私の自由でしょ」
 「たしかにその通りだな」

 これ以上話す必要はない、と言うように、再びPCの画面に視線を移した時だった。

「でも、」

 ふいに頬に添えられた長い指。そのまま、くいっと顔を上げさせられる。

「俺の休憩時間でもあるんだ。俺の好きなように使っても、文句はないよな」

 熱の籠った視線に、近づいてくる端正な顔。思わず目を見開き、慌てて身を引く。ガタリと椅子が鳴った。

「ちょ、ここ会社、」
「……」

 しばらく、じっと見つめられる。そして、耐えきれないとでもいうように彼は吹き出した。

「ははっ、キスされるとでも思ったのか?」
「なっ、」
「期待した?」

 意地悪く笑う彼を睨めば、これまた笑われる。図星である手前、何を言っても言い訳にしかならないのが悔しくて仕方ない。

「ま、仕事も程々にな」

 そんな言葉と共に、ポンと頭に彼の大きな手が置かれた。一瞬何が起きたのか分からず固まっていると、優しい手つきで撫でられる。しばらくすると、彼は満足げに笑い、ひらりと手を振って部屋を出て行った。
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