最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!
「……ひかり」



背後から聞きなれた声で名前を呼ばれた。




声のした方へ振り返ると、教室の入り口付近に霞くんが立っていた。




真剣な顔で、まっすぐこっちを見つめている。



「少しだけいいか?」



虹香ちゃんが気を利かせて出ていくと、教室には私と霞くんの二人だけになる。



「借り物競走のときのこと覚えてるか? あのときの言葉、嘘じゃないからな」



シーンと静まり返った教室の中で霞くんが先に口を開いた。



「……俺、ずっと前からひかりのことが好きだ」




霞くんこ言葉に驚きと同時に、信じられない気持ちが押し寄せてくる。



だって霞くんは昔からの幼なじみで……家族みたいなものだと思っていたから。



なのに「好き」だなんて。



からかいじゃなく本気の目で、こんなにも真剣に言われるなんて思いもしなかった。



反応に困る……



どう言えばいいのか、いつもならスラスラと話せる言葉も今は何も出てこない。



「……小さいころのこと忘れられないんだよ。ひかりは覚えているか?」



「小さいころ……? なんのこと?」



思い出そうとするも全く心当たりがない。


昔に何かあったのかな……?



「俺がチンピラに囲まれてたときひかりが守ってくれただろ?なんにもしてないのに言いがかりをつけられて。男なのに女の子のひかりに守られてアイツらにバカにされてたけど、そんときにさ――」




"男とか女とか関係ない! 大切な人を守ろうとして何が悪いの!"



"守られることは悪いことじゃないと思う。 勇気を出して、誰かに助けを求めるのは立派なことだよ。一人で抱え込まなくていい。頼っていいんだよ"

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