この夏をまってた。
三角関係、爆誕?
潮の匂いが漂う朝の駅は、私以外誰もいなかった。
家から駅まで歩いて五分もかからないのに、額に汗が滲む。
穏やかな波の音を聴きながら、駅のホームにある椅子に腰かけ、いつものように鼻歌で作詞・作曲をする。
これいいな、と思ったメロディーや歌詞は、スマホで録音したり、メモをした。
高校生になってからは両親の許可が下りて、動画サイトで自作の曲を上げるようになった。
同世代の人が投稿した曲が、SNSで人気になっていると、小学生の時テレビで見た時、私もこんな風になりたいと、憧れた。
それがきっかけで始めた曲作りだったが、いいねをもらうたび、何もなかった私に特技ができたみたいで、とても嬉しかったことを覚えている。
中学までは、パソコンで音源の入力を趣味としていたため、その曲を誰かに聞いてもらえるのは、少し恥ずかしいけれど、いいねや、もらったコメントを見るのは嬉しい。
心地のいい朝のゆったりとした時間は、私が失恋した時のことを優しく包み込んでくれるような気がする。
すると、遠くからガタン、ゴトンという電車の走る音がした。
一週間前なら、あいねえと通勤・通学ラッシュ時に慌てて乗り込んだ一両編成のローカル線が、今、ゆっくりと私の目の前で停車した。
朝の重たい足を、持ち前の運動神経でのろのろと動かして、左側に電車のドアがある所に、ちょこんと小さく座る。
誰も乗っていない電車の中、深いため息をついた。
毎朝、碧山先輩があいねえを迎えに来るので、その時間をさけていたら、こんなに早い時間に家を出るようになったな……。
「でも今正直、碧山先輩に会いたくない……」
「何が?」
誰もいないはずの右隣から声をかけられ、一瞬鳥肌が立つ。
驚いた表情がそんなに面白いのか、楽しそうな笑い声が電車内に響く。
見ると、最近、私の通う翠西高校に転校してきた夕陽が座っていた。
独り、呟いたその言葉のはずが、聞こえていたらしい。
「おはよう、まい」
「お、おはよう……」
また毎日会える、ということが嬉しい気持ちと同時に、昨日のことを思い出して、言葉を失う。
私、あの時……薄暗い夕日の中、ゆっくりと潮の満ちる海岸沿いで、何て言っていれば……ちがう。
私は……夕陽に何て、言いたかったのだろう。
自分で自分のとこが分からないなんて、子供っぽい考えだろうか。
そして結果的に、ゆーひを傷つけて、それでもゆーひは私を元気づけてくれた。
全部返せるか、自信はないが何かお礼がしたいな。
そう思っていると、電車が駅のホームに停車した。
と言っても、まだ学校の最寄り駅の1つ前の駅だが、この駅で乗る、私と唯一、趣味が同じの音楽友達がいるのだ。
「シオンまだかなぁ……」
「!、あ、あの猫かぶりマウント取りの……」
家から駅まで歩いて五分もかからないのに、額に汗が滲む。
穏やかな波の音を聴きながら、駅のホームにある椅子に腰かけ、いつものように鼻歌で作詞・作曲をする。
これいいな、と思ったメロディーや歌詞は、スマホで録音したり、メモをした。
高校生になってからは両親の許可が下りて、動画サイトで自作の曲を上げるようになった。
同世代の人が投稿した曲が、SNSで人気になっていると、小学生の時テレビで見た時、私もこんな風になりたいと、憧れた。
それがきっかけで始めた曲作りだったが、いいねをもらうたび、何もなかった私に特技ができたみたいで、とても嬉しかったことを覚えている。
中学までは、パソコンで音源の入力を趣味としていたため、その曲を誰かに聞いてもらえるのは、少し恥ずかしいけれど、いいねや、もらったコメントを見るのは嬉しい。
心地のいい朝のゆったりとした時間は、私が失恋した時のことを優しく包み込んでくれるような気がする。
すると、遠くからガタン、ゴトンという電車の走る音がした。
一週間前なら、あいねえと通勤・通学ラッシュ時に慌てて乗り込んだ一両編成のローカル線が、今、ゆっくりと私の目の前で停車した。
朝の重たい足を、持ち前の運動神経でのろのろと動かして、左側に電車のドアがある所に、ちょこんと小さく座る。
誰も乗っていない電車の中、深いため息をついた。
毎朝、碧山先輩があいねえを迎えに来るので、その時間をさけていたら、こんなに早い時間に家を出るようになったな……。
「でも今正直、碧山先輩に会いたくない……」
「何が?」
誰もいないはずの右隣から声をかけられ、一瞬鳥肌が立つ。
驚いた表情がそんなに面白いのか、楽しそうな笑い声が電車内に響く。
見ると、最近、私の通う翠西高校に転校してきた夕陽が座っていた。
独り、呟いたその言葉のはずが、聞こえていたらしい。
「おはよう、まい」
「お、おはよう……」
また毎日会える、ということが嬉しい気持ちと同時に、昨日のことを思い出して、言葉を失う。
私、あの時……薄暗い夕日の中、ゆっくりと潮の満ちる海岸沿いで、何て言っていれば……ちがう。
私は……夕陽に何て、言いたかったのだろう。
自分で自分のとこが分からないなんて、子供っぽい考えだろうか。
そして結果的に、ゆーひを傷つけて、それでもゆーひは私を元気づけてくれた。
全部返せるか、自信はないが何かお礼がしたいな。
そう思っていると、電車が駅のホームに停車した。
と言っても、まだ学校の最寄り駅の1つ前の駅だが、この駅で乗る、私と唯一、趣味が同じの音楽友達がいるのだ。
「シオンまだかなぁ……」
「!、あ、あの猫かぶりマウント取りの……」