歴代最強のオヒメサマ

【理人side】


車から降りてきた翡翠ちゃんに、男共が一瞬水を打ったように静かになる。


……そりゃあそうだよね。


艶やかな黒い髪に、長い睫毛にふちどられた瞳。白い肌に際立つようにぷっくりとした赤い唇。


そのどれもがバランスよく顔に配置されていて、息を呑む美しさを作っている。

あまりの美しさに男とか女とか性別を超えているんじゃないかとすら思える。



「行こう」
「……ん」


こくりと頷いた翡翠ちゃんの細い手を引っ張って、男共の真ん中を通って壇上へと上がる。


すごい視線の数。

そんなに浴びても、その無表情を崩すことなく毅然と前を向く翡翠ちゃんに、ちらりと視線を投げればすぐさま目が合う。


……鈍いわけじゃないんだよね。


ということは、慣れているんだろうな。多くの視線を浴びることに。

まあ、これだけ顔が整っていればどこ行っても注目されるだろうし。
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