ただ、君が好きなだけで

国立神宮聖学園



国立神宮聖(しんぐうせい)学園。


その名を挙げれば知らない者はいない、名実ともに国内最高峰と称される超名門男子校である。


初等部からの持ち上がりで、特例がない限り中・高・大とエスカレーター式で進学するこの学園の生徒たちは、まるで超一流ホテルのような寮で快適な日々を過ごすことを約束されていた。

学園が所有する土地の広さは全国の名門校でもトップクラス。
また、食堂をはじめとした日常生活に欠かせない施設にも一切の妥協はなく、最新技術と多額の費用が惜しみなく注ぎ込まれている。
ここまでくれば、毎年の入学希望者数が異常なほど多いのも当然だ。


そのため、理不尽な不満や父兄からの抗議を避けるため、学園が正式に新入生を受け入れるのは初等部のみと定められている。
結果として、学園には容姿端麗で芸能界とのコネを持つ者や、裕福な家庭に生まれ将来を嘱望される者などが大半を占めるようになった。


そうして優秀な人材が集う神宮聖学園では、生徒の自主性や尊重性が重視されている。

中等部までは教師が統括するが、高等部からは選ばれた生徒が一般生徒を引っ張る、理事長に次ぐ権力を持つ二大組織——「生徒会」と「風紀委員会」が選出される仕組みとなっている。


役員の選出方法は、容姿の良さはもちろん、人望、才能、成績など、あらゆる面でずば抜けた優秀さを条件としており、父兄や一般生徒からの不満が出ないよう細心の配慮がなされている。


そして何より重要なのが、学園全生徒によって開催されるビッグイベント——「抱きたい男」「抱かれたい男」ランキングである。
そのランキング上位者のみが、役員という権力を持つ者になるための切符を手にすることができるのだ。

今回の主人公もまた、その学園制度で選出された存在である。
成績優秀、イギリス人の叔母から受け継いだ銀髪と青い瞳、鍛え上げられた体躯を誇る
“抱かれたい男ランキング1位”の、生徒会長様であった。

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