十六夜月のラブレター
家に着いても後悔は止まらなかった。
スマホを眺めては入谷さんに連絡して謝ろうかと悩む。
愚かにもまだ心のどこかで入谷さんからの連絡を待っている自分もいた。
けれど入谷さんから連絡がくるはずもなく、午前0時を過ぎて連絡するのはやめた。
メッセージではなく明日きちんと一社会人として顔を見て謝ろう。
同じ会社に勤める先輩に、個人的な理由で感傷的になって取り乱してしまったのだから。
あの呆気にとられて立ち尽くす入谷さんの姿が忘れられない。
布団の中で何度も思い出しては眠れないまま朝を迎えた。
私にしては珍しく早めに家を出てオフィスに一番乗りして入谷さんが出勤してくるのを待つ。
他の人が見ていようがすぐに謝ろう。「昨日はすみませんでした」の一言だけでも。
私の次に出勤してきたのはキラキラ女王の柴田さんだった。挨拶すると柴田さんは腕組みしながら近付いてきた。
「いつも来るの遅いのに珍しいわね。それより。深沢さんて、入谷さんのこと狙ってるの?」
「えっ?」
「だって、昨日の夜一緒に飲みに行ってたでしょ?」
「どうしてそれを!?」
「前川さんが入谷さんを食事に誘ったら深沢さんと飲みに行くから断られたって言ってたわよ」
あれほど言ったのに。無自覚イケメン……。
「あ、それはですね、入谷さんが私を人違いしてて。でも解決したのでもう一緒に飲みに行くこともありません」
「そうなの? なんかよくわからないけど。とにかく、あんまり浮かれない方がいいわよ。入谷さん狙ってる女の子多いし、傷つくのは深沢さんなんだから。夢見ちゃダメよ」
スマホを眺めては入谷さんに連絡して謝ろうかと悩む。
愚かにもまだ心のどこかで入谷さんからの連絡を待っている自分もいた。
けれど入谷さんから連絡がくるはずもなく、午前0時を過ぎて連絡するのはやめた。
メッセージではなく明日きちんと一社会人として顔を見て謝ろう。
同じ会社に勤める先輩に、個人的な理由で感傷的になって取り乱してしまったのだから。
あの呆気にとられて立ち尽くす入谷さんの姿が忘れられない。
布団の中で何度も思い出しては眠れないまま朝を迎えた。
私にしては珍しく早めに家を出てオフィスに一番乗りして入谷さんが出勤してくるのを待つ。
他の人が見ていようがすぐに謝ろう。「昨日はすみませんでした」の一言だけでも。
私の次に出勤してきたのはキラキラ女王の柴田さんだった。挨拶すると柴田さんは腕組みしながら近付いてきた。
「いつも来るの遅いのに珍しいわね。それより。深沢さんて、入谷さんのこと狙ってるの?」
「えっ?」
「だって、昨日の夜一緒に飲みに行ってたでしょ?」
「どうしてそれを!?」
「前川さんが入谷さんを食事に誘ったら深沢さんと飲みに行くから断られたって言ってたわよ」
あれほど言ったのに。無自覚イケメン……。
「あ、それはですね、入谷さんが私を人違いしてて。でも解決したのでもう一緒に飲みに行くこともありません」
「そうなの? なんかよくわからないけど。とにかく、あんまり浮かれない方がいいわよ。入谷さん狙ってる女の子多いし、傷つくのは深沢さんなんだから。夢見ちゃダメよ」