あなたの秘密を暴きましょう

真実を知って愛になる

深い嵐のような宮廷の抗争――アントワーヌとジュリエットは最後の決断を迫られる。
暗殺計画が進む王宮の廊下で、二人は袖を引き合い、囁く。
「僕と君が一緒なら、恐れるものは何もない」 「あなたのそばなら、私は何度でも立ち上がる」
その言葉とともに、レオが颯爽と現れ、手にした書類を突きつける。真相を明かす皇室の公文書――血筋の正当性と公爵家の陰謀を同時に暴く鍵だった。
突きつけられた真実に、参列する貴族たちは凍りつき、陰謀の幕が引き裂かれる。ロベルト公爵は、娘と妻への深い愛情ゆえに築いた秘密がもたらした悲劇を噛み締め、膝を折るしかなかった。
新たな時代の幕開け
双子の弟ルイは、自らの過ちを告白し、姉と王太子への忠誠を誓う
ロベルト公爵は公の場で全てを認め、娘の幸福を最優先にすると宣言
アントワーヌとジュリエットは正式に婚約し、二人の誓いは宮廷に新たな希望を灯す
深い傷跡を抱えながらも、真実と愛が復興を呼び込む。夜を越えた先に、初めて訪れる穏やかな朝の光――それは二人が紡いだ、未来への約束の証だった。
遠く響く鐘の音が宮廷広間に染み渡る中、参列者の視線は中央の演壇へと集まった。ひときわ静かな気配が場を包む。だがその重苦しさを打ち破ったのは、ルイが刻む凛とした足音だった。
ルイは兄レオと並び、まっすぐに声を発した。 「私は、姉と王太子殿下の愛を踏みにじろうとした。保身のために家と国を騙し、卑劣な計略に手を貸したことを深く後悔しています。どうか許しを請わせてください」
その言葉に湧き返るざわめきをものともせず、ルイは静かに頭を垂れた。会場を見渡すと、ジュリエットの瞳だけが温かく揺れている。彼女の許しを願うその表情は、兄としての誠意を裏切らぬ強さを秘めていた。
公爵ロベルトの告白
次に沈黙を破ったのは、ロベルト公爵自身だった。握りしめた剣の柄をゆるめ、公の場で深く一礼する。 「我が野望のため、愛する娘と王家の運命を弄びました。すべては私の過ちです。今ここに、ジュリエットの幸福を何よりも尊ぶことを誓います」
重厚な声が宮廷に轟き、かつて彼を非難していた重臣たちが静かに頷きを返す。真実を知った後の厳粛な空気は、一転して赦しと祝福の気運へと変わっていった。
正式な婚約の発表
広間の扉が開き、王太子アントワーヌと公爵令嬢ジュリエットがゆっくりと歩み寄る。皇家の儀仗兵が二人の前にひざまずき、銀の婚約指輪の箱を差し出した。
アントワーヌは一礼し、指輪を手に取る。静かに膝を折ったまま言葉を紡ぐ。 「ジュリエット、君がどんな運命を背負おうとも、僕は君だけを選ぶ。永遠の愛と忠誠をここに誓います」
ジュリエットは頬をわずかに紅潮させながら、指輪をはめる。そこに交わされた視線は、単なる政略を超えた真実の契りそのものだった。
新たな希望の夜明け
三度の誓いが宮廷に新たな風を吹き込む。 ルイの懺悔は家族の絆を深め、ロベルトの告白は父としての愛を取り戻し、二人の婚約は国に平和と安堵を約束した。
窓の外、夜明け前の東の空が淡く紅く染まり始める。宮廷の高窓を通して差し込む光は、すべての痛みと過去を包み込み、新たな時代への歩みを優しく照らしていた。

――かくして、愛と真実が紡いだ物語は、遠い遠い国に希望の朝をもたらしたのだった
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