帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
私がそう答えると、使者の方はほっと息をつき、深く頭を下げた。

「では明日、お迎えにあがります。」

そう告げて去って行く背を見送りながら、胸の奥が少しだけ高鳴っている自分に気づく。

その夜、寝支度を整えたところで神主に呼ばれた。

「いいかい、美琴。これから話すことは、大事なことだよ。」

「はい。」

私は正座し、神妙な面持ちで耳を傾ける。

神主はしばし言葉を選び、低い声で続けた。

「宮様がお前を望まれる理由が、ただの話し相手とは限らない。」

「……え?」

思わず瞬きする。

「宮様が大人になりたいと望むなら、それは側にいるおまえに向けられるかもしれない。」

「えっ?」

私は首を傾げた。

神主は深くため息をつき、「おまえはまだ子供なのだね」と呟く。

「いつかおまえも大人になれば、子をつくるために殿方と情を交わすことがある。」
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