帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
「は、はい……」

そんな遠い未来の話、私には実感がなかった。

「それを宮様がおまえに求めてくるかもしれないということだ。」

その瞬間、胸の奥に不安が広がった。

「私が……宮様のお子を?」

神主はゆっくり首を横に振る。

「そうなっては困るのだ。おまえは妃にはなれない。」

「なれない……?」

「身分が違う。妃になれぬ女が皇子の子を宿せば、おまえも子も苦しむことになる。」

神主の言葉は、冷たいようでいて私を思いやる響きがあった。

それでも胸の中に芽生えた不安は消えず、私は膝の上でそっと手を握りしめた。

「分かりました。情を交わしてはいけないということですね。」

「そうなるね。」

神主は静かに頷いた。

私はうんと頷き返し、「大丈夫です。あのように貴い方が、私のような者を求めるはずがありません」と、少し笑ってみせた。
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