帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
ある時だった。
近くにある大きな神社の神主が、突然私の家にやってきた。

「美琴を、神社の巫女にしてはどうか。」

その言葉に、父と母は目を見開いた。

「巫女、ですか?」

「これだけの力を持つ娘は、神の使いとしか思えない。」

私は神主の顔を見つめ、そっと尋ねた。

「……もっと多くの人を救えますか。」

神主はうんと頷く。

「私の神社には、悩みや病を抱えた人がたくさん訪れる。きっと美琴が救いになると思う」

胸の奥で、小さな灯がともるのを感じた。

村の人を癒すことしかできなかった自分が、もっと遠くの誰かの助けになれるのなら──。

「わかりました。お世話になります。」

その日、私は神社に行く決心をした。

村人たちは口々に別れを惜しみ、「癒しの神」として私を送り出してくれた。
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