諦めていた恋の続きを始めます
『珍しいが、自覚症状がほとんどないケースだ』
転移の心配もあると、気落ちしている様子がうかがえる。
これからどう治療していくかは慎重に考えているところだと言葉を濁した。
前向きに治療に取り組めば完治を目指せるだろうが、場合によっては今後の生活に影響が出るかもしれない。
真大は幼いころから飛びぬけて優秀だった。
だが現実は、残酷だ。
真大の病気や周防総合病院の将来を考えると悩みは深いはずだ。
『いい機会だ。うちに帰って来ないか』
これまで自分から悠真に話しかけたことも、ましてや頼みごとなどしなかった人だ。
『しばらくうちの病院で働いてくれ』
「え?」
『真大の病気のことは、世間に伏せている』
真大は病気療養中だと、公にしていないらしい。
『だが病院に周防家の医師がいないと格好がつかない』
周防総合病院を一番に考えてきた真治らしい。代わりの医師は、周防家の人間でなければならないのだ。
『母さんも、お前だけが頼りだと言っている』
真大が病に倒れたことで、慌ててスペアの存在を思い出したのだろう。
『今後のことを相談しよう』
つまり真大には無理をさせられないから、病院のために働けということだ。