諦めていた恋の続きを始めます
迷いもなく、悠真は「もう決めている」と告げてしまった。
『親に報告もせず、勝手に婚約したのか』と真治は不満げだったが、友人の大石琉輝の妹だと言えば納得したようだ。
琉輝は腎臓内科医で、周防総合病院にも週に何度かは来てくれている。
経営の安定に欠かせない人口腎臓の専門医だから、信頼は厚いようだ。その妹と知ると、反対はなかった。
悠真が周防家に戻るにあたって、まどかは欠かせない存在になってしまった。
まどかの気持ちを無視した形になったが、このところ順調だった関係を思うと間違えてはいないつもりだ。
真大の病気が原因とはいえ、両親の言いなりにはなりたくない。
真大が安心して治療に専念できるように、悠真に出来ることをするだけだ。
仕事の関係ですぐには東京に戻れないことと、まどかと一緒に帰ることを父に伝える。
沙織の言動を考えると、悠真には結婚相手がいるとはっきりさせておきたい。
悠真に「子どもが欲しい」と言い寄ってくるほど追い詰められている沙織のことだ。
真大に疑われたくないし、両親との関係修復の障害になっても困る。
悠真は周防家と病院の将来、それに真大のことを考えて腹をくくった。
(いい機会だ。今日こそまどかにきちんとプロポーズしよう)
兄の病気のことは理解してくれるだろうが、これまで一度も好きだと伝えたことはない。
そんな悠真がいきなり告白したら、まどかはどう感じるだろう。本気だと信じてもらえない不安もある。
だが父に話した以上、後には引けない。
スペアとして育てられてきた弟の存在意義を、両親に認めさせる戦いなのだ。