諦めていた恋の続きを始めます
「婚約者のフリをするだけなら、私でもお力になれると思います」
まどかは自信をたっぷりに答えた。
ただ悠真の役に立ちたかった。悠真が困っているのなら、何とか手助けをしたかっただけだ。
それがこんな形で叶うとは、思ってもいなかった。
まどかには、周防総合病院に取り入ろうという計算もない。
かつてあこがれた人の窮状を救えるなら、婚約者のフリくらいなんでもないことに思えた。
一度は結婚話がダメになっているし、今さら自分の経歴に傷がつこうが大したことではない。
「その役目、おまかせください」
明るく言うと、なぜか悠真は切なそうな目をした。
「まどからしいな」
まどかは、急に悠真に抱き寄せられた。
「あっ」
グラリとかしいだまどかの体は、悠真の腕の中にある。
「本気で、俺のために何でもするつもりなんだ」
なんだか振りほどいてはいけない気がして、まどかは身を固くした。
「今はそばにいてくれるだけでいい。それだけで十分だ」
「周防さん」
悠真の顔を見上げると、眉間には縦皺が寄っている。考えて、悩んで、ようやく決めたことなのだろう。
「一緒に周防の家に行ってくれるか? 婚約者として」
「はい。こんなことで、周防さんのお力になれたらうれしいです」
「……ありがとう」
それは感情をどこかに置き忘れているような声だった。