ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
3/思いがけない告白
「たか……。高藤……！」
「ん……」
「たーかーふーじー」
「う、ぅ……。うる、さい……」

　耳元で、男性の声が聞こえてくる。
　その言い方が気に食わなくて悪態をつけば、さらにこちらが不機嫌になるような呼びかけを耳にした。

「真姫ちゃん。朝だぞー」
「はぁ……？」

　名前にちゃんづけなんて、父親ですら呼ばない。
　茶化すような声音の低い声は一体誰のものだと眉を顰めてゆっくりと瞳を開けば、想像もしていなかった人が自分を至近距離で見下していてぎょっとした。

「お、小出清貴くん!?」
「なんでフルネーム？　名前でよくね？」
「う……」
「もしかして、まだ寝ぼけてるとか……？」

　こちらの表情を窺うように見下され、思わず飛び出そうになった悲鳴をぐっと飲み込む。

　どうやら仕事をこなしているうちに、眠ってしまったようだ。
　こんなところで意識を失うなんて不用心だと、心配してくれたのだろうか？
　彼が声をかけて起こしてくれたのは、ありがたいとは思う。
　しかし、その距離感が問題だった。

　――顔が近い！

　とてもじゃないが、彼の目を見て話そうという気にはなれなかった。
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