ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
「ううん。違うよ」
「だったら……!」
「私が、元ホームラン王子の彼女と言う肩書きに、耐えられないだけ」
「じゃあ! 世間が俺のことを忘れたら、考え直してくれる!?」

 期待なんて、持たせるべきではないとわかっていた。
 彼を好きになれなかった時に苦しめてしまうだけなら、黙ってこの場を立ち去るべきだ。
 頭では理解していたはずなのに――結局私はこちらに伸ばされた手を完全には拒絶できず、有耶無耶にしてしまった。

「いいよ」

 そんな日が訪れるわけがないと、高を括っていた。
 だから、まさか半年後――。
 彼の願い通りの状況に陥ることになるなど知りもせず、私は小出くんと別れて帰路についた。

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