ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
「今からでも、まだ間に合う?」

 小出くんは呆れたような、駄々を捏ねる幼子を諭すような、なんとも言葉にしづらい表情で問いかけてきた。

 ――そんな姿すらも、すごく絵になる人だ。
 かっこいいと一瞬でも思う時点で、私がこれから口にするべき言葉は最初から決まっていた。

「うん……」
「それって、期待してもいいの?」

 小出くんはこちらを見下しながら、挑発的な笑みを浮かべていた。
 ここで駄目だと言ったら、彼はきっと機嫌を損ねてしまうだろう。
 だから――。

「少しずつ、小出くんを知っていきたい」
「ほんと?」
「一緒にいる時間を増やして、人となりを知って、好きだなって思えるところを探してから、交際するかどうかを決めたいんだ」
「いいよ」

 今の素直な気持ちを包み隠さずに吐露すれば、小出くんは二つ返事で了承してくれた。
 あまりもの早さに驚いた私は、思わず問いかけてしまった。
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