お兄ちゃん、すきだよ。
家に帰る途中、落ち葉を踏みながら坂道を下る。
家の前にたどり着くと、部屋の明かりが目についた。
怜一朗くん、いるんだ。
いままではずっと、家に帰ってもひとりきりだったから、なんだか少し感動してしまった。
こんなささいなことが幸せな気持ちにさせてくれる。
私は改めて、家族の大切さに気付いた。
「た、ただいま…。」
「おかえり春乃ちゃん。遅かったね。」
家の中に入ると、怜一朗くんがソファに座って本を読んでいた。