Devil's Night
絵莉花が、窓に張り付くようにして外を見ている。私も何気なく、その窓の向こうへ目をやった。
庭に灰色の猫がいる。蒼い大きな瞳をした、しなやかなロシアンブルーが、芝生の上に腰を下ろしてこっちを見ていた。
「ニャア」
その猫の鳴き声に、背筋が凍る。廃屋で出会った少年、カイが飼っていた猫の声にそっくりだったからだ。
一瞬にして、おぞましい記憶が次々とよみがえってきた。
『みーつけた』
カイの声が直接、鼓膜に響いたような気がしてゾッとする。
私は持っていたマスコットを放りだし、窓に駆けよってカーテンを閉めた。