Devil's Night
 
 矢が抜かれた後も、心臓が脈打つ度に傷がズキズキ痛む。


「あっ……」


 傷口にカイの唇が触れるのを感じた。きつく吸い、血を吐き出している。


――毒が塗ってあったんだ……。


「カイ。私、死ぬの?」


 苦しい息の下で聞いた。


「死なせない」


 そう言って、カイは私の体を床に横たえると、そのまま家を出ていくのが見えた。

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