Devil's Night
20. スクリーム
 
 色々な不安が怒涛のごとく押し寄せてくる。けれど、絵莉花のことだけは考えないようにした。閉じ込められた息苦しい部屋で、幼い娘が殺され、山の中に無残に捨てられている場面を想像するだけで、精神に異常をきたしてしまいそうだったから。気を許すと、つい、そちらへ向かいそうになる気持ちをブロックして、ひたすら陽人の手術のことだけを考えた。


せめて、ドナーの子どもが苦しみませんように。せめて、安らかに……。そんな身勝手なことを繰り返し考えている。


――私は最低の人間だ。


 自分をののしり、責めた。もし、神が存在するのなら、この罰はどうか、すべて私に与えてください。そう祈りつづけることしか出来ない。


 時計ばかりを見て、1時間余りを過ごした。数えきれないほどのため息をつきながら。


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