Devil's Night
 
「これは……」


 それは絵莉花が誘拐されたときに持っていたのと同じポシェットだ。


――これがドナーの遺品? ウソ……。


 私はそこにうずくまり、ふるえてうまく動かない指でポシェットのジッパーを開けた。中には、フェルトのウサギがひとつ、入っている。 


――リリちゃん……。


 娘がどこへ行くにも一緒だった手作りの人形。それは絵莉花の物に間違いなかった。


「そんな……」


――まさか、私は絵莉花の心臓を……。まさか……。


 カイは今回の適合率は特に高いと言っていた。それは姉弟だったからなの?


「そんな……」


 恐怖で体が冷たく固くなっていく。


「いや……」


 私は狂ったように、首を振っていた。


「いやぁああああああッ!」
< 321 / 359 >

この作品をシェア

pagetop