あの日の約束
序章 二人の約束
「わぁ綺麗」
「このお魚光ってる!」
水槽の中にいる魚を指差しながら二人で笑い合う。
そんな一時がすごく幸せで、温かくて、いつまでもこうしていたいと思った。
「みんな、自由に楽しそうに泳いでる」
そう、楽しそうに話しながら水槽を見ている徠希の綺麗な横顔を眺めているとそれに気づいた徠希が「どうしたの?」と聞いてきた。
「楽しいね」咄嗟に出た言葉だった。
「うん、彩羽とここに来れてよかった!」
「私も!」
「ずっと一緒に居ようね」
「うん!私、死ぬまで徠希と一緒!」
「僕も絶対彩羽と一生過ごす!」
「約束だよ」
「僕たち二人の約束!」
私達は約束を交わした。
買ってもらったイルカのニコイチキーホルダーを二人でくっつけ、反対側の手で手を繋いだ。
「僕は彩羽のこと離さない」
そう言ってくれた徠希の笑顔はこの世で一番輝かしかった。
次の瞬間には目が覚めていた。
まだ徠希のあの笑顔が脳裏に浮かんでいて、離れてくれない。
「はぁ、またこの夢か」
私はため息を吐く。私がまだ小さかった時の記憶。もう忘れたい記憶。私は本気で徠希が好きだった。だからあの約束も本気で、徠希も本気だと思ってた。でも徠希はもう忘れてるだろう。私の恋は既に終わっている。もう叶わない。そう思わないとどうしても期待してしまう自分がいる。絶対にそんなことないのにー。
「彩羽ー起きなさーい」
お母さんの声が聞こえて私は体を起こす。
すると、机の棚に飾ってあるイルカのキーホルダーが目に映った。私の一番大切なもの。鞄に付けて落としてしまうのが怖くて、あの日以来ずっとここに飾っている。
この恋は終わってしまった、と気づいてから徠希との思い出の物は見えないところにしまったけど、これだけはなぜかしまうことができなかった。思い出してしまうと分かっているのに。
「はぁ…」
私はまたため息を吐いた。昔のことなんて思い出しても無駄だ。私はベットから降りてカーテンを開ける。
差し込んでくる光、目に映る光景はいつもと変わらない。今日も、明日も昨日までと同じような、憂鬱な日々が淡々と過ぎていく。あの時までは毎日が楽しかった。早く学校に行って徠希に会いたくて、一緒にくだらない話をして笑って、そんな日々が幸せでたまらなかった。あんなことがなければ、今も毎日がこんなに憂鬱じゃなかったのかな。
暗いことしか考えられない自分が呆れる。何をしてても徠希のことを思い出してしまう自分も。
今日はいつもより窓から差し込んでくる光が強いような気がした。
「このお魚光ってる!」
水槽の中にいる魚を指差しながら二人で笑い合う。
そんな一時がすごく幸せで、温かくて、いつまでもこうしていたいと思った。
「みんな、自由に楽しそうに泳いでる」
そう、楽しそうに話しながら水槽を見ている徠希の綺麗な横顔を眺めているとそれに気づいた徠希が「どうしたの?」と聞いてきた。
「楽しいね」咄嗟に出た言葉だった。
「うん、彩羽とここに来れてよかった!」
「私も!」
「ずっと一緒に居ようね」
「うん!私、死ぬまで徠希と一緒!」
「僕も絶対彩羽と一生過ごす!」
「約束だよ」
「僕たち二人の約束!」
私達は約束を交わした。
買ってもらったイルカのニコイチキーホルダーを二人でくっつけ、反対側の手で手を繋いだ。
「僕は彩羽のこと離さない」
そう言ってくれた徠希の笑顔はこの世で一番輝かしかった。
次の瞬間には目が覚めていた。
まだ徠希のあの笑顔が脳裏に浮かんでいて、離れてくれない。
「はぁ、またこの夢か」
私はため息を吐く。私がまだ小さかった時の記憶。もう忘れたい記憶。私は本気で徠希が好きだった。だからあの約束も本気で、徠希も本気だと思ってた。でも徠希はもう忘れてるだろう。私の恋は既に終わっている。もう叶わない。そう思わないとどうしても期待してしまう自分がいる。絶対にそんなことないのにー。
「彩羽ー起きなさーい」
お母さんの声が聞こえて私は体を起こす。
すると、机の棚に飾ってあるイルカのキーホルダーが目に映った。私の一番大切なもの。鞄に付けて落としてしまうのが怖くて、あの日以来ずっとここに飾っている。
この恋は終わってしまった、と気づいてから徠希との思い出の物は見えないところにしまったけど、これだけはなぜかしまうことができなかった。思い出してしまうと分かっているのに。
「はぁ…」
私はまたため息を吐いた。昔のことなんて思い出しても無駄だ。私はベットから降りてカーテンを開ける。
差し込んでくる光、目に映る光景はいつもと変わらない。今日も、明日も昨日までと同じような、憂鬱な日々が淡々と過ぎていく。あの時までは毎日が楽しかった。早く学校に行って徠希に会いたくて、一緒にくだらない話をして笑って、そんな日々が幸せでたまらなかった。あんなことがなければ、今も毎日がこんなに憂鬱じゃなかったのかな。
暗いことしか考えられない自分が呆れる。何をしてても徠希のことを思い出してしまう自分も。
今日はいつもより窓から差し込んでくる光が強いような気がした。