茨に解毒を。

第3話


−遊馬家屋敷−



志希「ただいま。」

道林「志希、おかえり〜!」

志希「も〜おじ様、もう少し危機感持ちましょーよw 今はボスですし、伝令を出したのはあなたでしょう?それで、ナビゲーター班はもういるのですか?」

道林「ああ。さっき到着したばかりだ。リビングに待機させている。」

すぐにスイッチを切り替えられるおじ様は、やっぱり尊敬するなぁ…!

志希「リビングですか…。ありがとうございます。では、愛珠麻と拓也を連れて向かいますね。」

道林「ああ、よろしく頼む。」

それにしてもリビングね…。
ここには客室がちゃんと設けられているけど…、やっぱりおじ様も考えてるんだ。
…客室、か。
だめだめ!
今は殺人命令(ミッション)に集中しなきゃ!

志希「アズ、タク。リビングにナビゲーター班を待機させているそうだよ。」

愛珠麻「リビング…?志希様、この屋敷には客室がありましたよね?なぜわざわざリビングにしたのですか?」

拓也「あ、ちょっとアズ!余計なこと聞くな!!」

志希「いいんだよ、タク。そうだね、アズにはまだ話していなかった。…客室は、私のお母様とお父様とおば様が殺された場所なの。だから、3人の仏壇があるんだ。そこには身内以外は入れないようにしてあるから、おじ様は待機場所をリビングにしたんだと思う。」

愛珠麻「え…!ごめんなさい志希様!!!!私の不注意でつらいことを思い出させてしまって…!!」

志希「大丈夫だよ、アズ。私が君に言っていなかったのも悪いから。だから、どうか自分を責めないで?お願い。」

愛珠麻「は、はい…。ありがとうございます。」

志希「じゃあ気を取り直して、リビングに待機しているナビゲーター班の所へ行こう。」

拓也「はい。そうですね!…アズ、大丈夫?」

愛珠麻「うん、大丈夫!よし、行きましょうか!!」




-リビング-


“コンコン”


志希「失礼します、実行班代表・遊馬志希です。」

ナビ班「「「どうぞ。」」」

“ガチャ”

志希「…!なんですか、この状況。明らかに宴会じゃないですか。殺人命令(ミッション)が出てもこの調子…。相変わらずですね香苗(かなえ)さん。」

香苗「あははっ、君たちもどう?一緒にパーt…。」

志希「遠慮しておきます。私の家を勝手に荒らさないでくださいね?((圧」

香苗「おっと…、美人さんが怒ると迫力があるのはほんとだったんだぁ…。」

志希「はぁ。黙ってないで何か言ったらどうですか、清羅(きよら)さん。香苗さんと何年もナビゲーター班をやっているあなたなら、彼の対処法くらいご存知でしょう?」

清羅「対処法って…。虫みたいな言い方してんの面白いね。」

志希「は?それだけですか?次はヘッドホン取り上げに行きますね…💢」

って、もう聞いてないし。

彪雅(ひゅうが)「ふわぁ、志希ちゃんも大変だね。香苗はチャラいし、清羅は無口だけど、なんだかんだ志希ちゃんのこと気に入ってるみたいだよ?僕も君のことは結構気に入ってる。それじゃあ、おやすみ~。」

志希「この状況で呑気に寝てられるのはあんただけですよっ、彪雅さん!!」

拓也「あー、志希様?その…、これはいったいどういうことなのでしょうか?俺らだけまだ、状況が把握できていないのですが。」

愛珠麻「(*°-°)*。_。)*°-°)*。_。)ウンウン」

志希「ごめんね。とりあえず、紹介からしておくね。彼らがナビゲーター班。代表を、坂爪(さかづめ)香苗。班員は香苗さん以外に、日向(ひなた)清羅さん、甘乃(かんの)彪雅さんがいる、んだけど!」

アズ&タク「「だけど…?」」

志希「見ての通り、彼らは仕事以外の時は超ポンコツ野郎になっちゃうの。」

香苗「ポンコツだなんてひd…。」

志希「うるさいです( ^∇^)」

香苗「Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン」

志希「私はそんなポンコツな彼らのお世話係に任命されちゃったの、おじ様から…!しかも笑顔でよろしく、って。そんなの断れるわけないよねっ!?」

香苗「え!志希ちゃんってボスから俺らのお世話係に任命されてたの!?今までそんな人いなかったよ?」

志希「それはあなたたちが問題児だからでしょう?なんで私があなたたちの面倒なんか見なきゃいけないんですか。昔と逆になってますよ!」

愛珠麻「昔…?」

志希「うん。彼らは私の両親が仕事で忙しい時、代わりに私の面倒を見てくれていたの。家も近所でね。しかも彼らのお母さんたちと私のお母様が昔からの友人で、生まれてからずっと一緒だったんだ。私のお兄様のような存在だったんだよ、昔は。今じゃ完全に幼稚園児を見ているようなもの…。」

愛珠麻「…志希様、1つよろしいでしょうか?少し気にくわないことがありまして。」

志希「ど、どうしたの?顔が怖いよ…?」

愛珠麻「ナビゲーター班の皆さんが志希様と親しいご関係だということはしっかり伝わりました。ですが、志希様のような素晴らしい方をどうして馴れ馴れしくちゃん付けするのでしょうかっ!志希様のご希望なら私が口出しすることはできませんがね。」

志希「今まで気にしてなかったな、そんなこと。でも…、アズには悪いんだけど、私は今のこの呼び方でとても満足してるよ。彼らがポンコツなのは変わりないけど、一緒にいると楽しいこともあるから。今の関係を私は維持したいなって思ってる。」

ナビ班「「「(´;ω;`)ブワッ」」」

志希「なんで皆号泣してるんですか。というか、清羅さん珍しく話聞いてくれたんですね。それに、彪雅さんも起きてたんですか。」

香苗「いや、だってどんどん塩対応になっていく志希ちゃんがこんな嬉しいこと言ってくれるなんて…!!」

志希「塩対応は余計です、香苗さん。」

清羅「志希、俺らに厳しいじゃん。いつもそう言ってくれればいいのに。」

志希「私が厳しいのはあなたたちがポンコツだからです。てか清羅さんはなに拗ねてるんですか、幼稚園児扱いしますよ。」

彪雅「清羅は不器用だからね~。無口くんは嫌われんぞ?でも、清羅が言ってること僕も少しわかるかもな~。もしかして、志希ちゃんも不器用だったりする?また昔みたいに僕が甘やかしてあげようか?おいで、志希ちゃん。」

志希「やめてください。私、清羅さんほど子供じゃないんで。」

香苗「というか、なんで敬語なの?いつもタメ口で話してくれてるでしょ?それに、呼び方も違うじゃん。いつも可愛い呼び方してくれんのに。」

志希「そんなの決まってますよ。今は任務中。おじ様からの殺人命令(ミッション)が出てるんですよ!長話なんかしてる暇はなかったんです!!わかってますか!?」

愛珠麻「志希様のおっしゃる通りです。早く会議を行いましょう。」

志希「さっさと始めないと、そろそろおじ様が怒りますよ。それでもいいんですか?」

彪雅「え゙っ、そ、そうだね~。ちょっと、清羅!音楽聴いてんじゃないの!会議やるんだよ~!!ボスが怒るとヤバいから!ね!?覚えてるでしょ!?」

清羅「えっ、あ、ごめん、彪雅。」

やっぱり覚えてるんだ。
やばかったよね、おじ様ガチギレしちゃって。
何でだっけな・・・、確か私が気に入ってた人形の手を彪兄と清兄が喧嘩して引き千切っちゃったんだっけ?
それで、かな兄がおじ様のこと宥めてたなぁ。
ふふっ、懐かしい。
おじ様って、ちょっと過保護な所あるからな〜。

香苗「なぁにニヤけてんの、志希ちゃん。思い出すのはやめてよね、ほんと怖かったんだから。さっさと始めないと、ね?」

志希「別に、思い出してませんー。
コホン、ではこれより作戦会議を始めます。」

“ピリッ”

アズ&タク((…!すごい、一瞬で空気が変わった…!!この人たち、本気出すとヤバいかも))
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