幼なじみのユウくんは、私を抱かない。
「それで、今日はなんの相談?」

ユウくんに聞かれて、私は部屋に押しかけて来た理由(わけ)を思い出した。

「今日は相談じゃない。一緒にご飯食べたいなと思って。」
「へー、めずらし。」
「でも、予定……あるよね。」

また女の人が来るよね。

「いや、いいよ。食べよ。」
「女の人来ないの?」

「呼ばなければ来ない。」
「呼んでるの?」

「まぁね。」

ユウくんが女の人と過ごすのは、生きていることを確認するため。誰かがいないと、自分の存在価値がわからないなんて、そんなの辛すぎない?

「ねぇ、ユウくん。私を呼んでよ。」

そばにいるだけなら私にもできる。

「またそういうこと言う……この前、怖い思いしただろ?そういうこと言うのやめなって。」
「違う。そういうことやるためじゃないよ!」

「じゃ、なんのために呼ぶわけ?」
「ひどくない?女の人呼ぶときは体目的ですって言ってるようなもんじゃん!」

「男が女を部屋に呼ぶなんて、目的はそれしかないの。」

「そんなことない!ご飯食べたりゲームしたりしようよ!」
「えー……めんど。」

「めんどくさくないし!私は楽しいよ?今日だってご飯食べたいって思ったし、映画も行ってみたいって思ってるし。」
「なにそれ、彼女みたいじゃん。」

「いいじゃん別に。彼女いないんでしょ?」
「いないけど?」

ユウくんは面倒くさそうだったけど、私はユウくんを強引に連れ出して、近くのレストランで食事をした。

私は楽しかった。ユウくんが楽しくなくてもいいって思うくらいには。

そして、ユウくんの部屋に帰ってきた後、ゲームを始めたのだけど──
< 3 / 24 >

この作品をシェア

pagetop