幼なじみのユウくんは、私を抱かない。
「ねぇ、ユウくん。彼女できた?」
「できないよ。いたら、イチカも部屋に入れないから。」

そういうところは普通の感覚持ってるのに、どうしてあんなことするんだろう。ユウくんは楽しいの?遊びの感覚で女の人と過ごして、幸せなの?

「ユウくんはさ……どうして遊ぶの?」
「ん?」

「前に体の関係だけの相手がいるって言ってたじゃん?今もいるの?」

いるってわかってるのに聞いてる。意地悪だな私。

「いるよ。」
「……そっか。」

あっさり認められてしまった。答えはわかってたのに、なんか気が重い。

「ユウくんはなんで遊ぶの?男の人はみんなそうだって言ってたけど、楽しいの?」

私にはわからない。好きでもない相手とそういうことして何が楽しいのだろうか。

「楽しいというか……確認?」
「確認?」

「俺は生きてるっていう確認。」
「……なにそれ。」

スッキリするとか、気持ちがいいとか、欲望まみれの理由なら馬鹿にしてやろうと思ったのに、全然違った。

「俺さ、親とうまくいってなかったじゃん?」
「うん。」

それは知ってる。ユウくんはお母さんと2人暮らしだったのに、お母さんはいつも家にいなかった。

「だから、年上に惹かれるのかもね。」

黒いソファーに腰を下ろすと、ユウくんはキッチンで麦茶を入れて持ってきてくれた。

「……ありがと。」

ねえ、ユウくんは幸せ?私は王子様を待ってる。ユウくんのところにお姫様は来ないの?

なんか泣きそうだ。
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