ひと夏の経験、五つの誘惑
第2章 羽月 ― 汗と日焼けの誘惑
神奈の一件以来、俺は女子高生という存在を素直に信じられなくなっていた。
初めての経験をしたい――その気持ちは理解できる。俺だってそうだった。
十八歳の夏、年上の大学生の先輩に頼み込んで、初めての夜を迎えた。
先輩は優しくて、少しの間だけだが本当に付き合った。
決して一度きりの関係ではなかった。
だからこそ、神奈が「ひと夏の経験」で終わらせたあの日の感覚が、どうしても胸に引っかかる。
窓の外では、あの日と同じように蝉が鳴いている。
「あーあ……神奈。」
声に出すと、夏の熱気が一気に押し寄せてくるようだった。
机に突っ伏し、目を閉じれば、教室で笑う神奈の顔、制服越しの温もり、息が触れた瞬間――すべてが鮮やかによみがえる。
忘れたいのに、忘れられない。
あの日の彼女は、きっと俺よりもずっと先に大人になっていたのだ。
初めての経験をしたい――その気持ちは理解できる。俺だってそうだった。
十八歳の夏、年上の大学生の先輩に頼み込んで、初めての夜を迎えた。
先輩は優しくて、少しの間だけだが本当に付き合った。
決して一度きりの関係ではなかった。
だからこそ、神奈が「ひと夏の経験」で終わらせたあの日の感覚が、どうしても胸に引っかかる。
窓の外では、あの日と同じように蝉が鳴いている。
「あーあ……神奈。」
声に出すと、夏の熱気が一気に押し寄せてくるようだった。
机に突っ伏し、目を閉じれば、教室で笑う神奈の顔、制服越しの温もり、息が触れた瞬間――すべてが鮮やかによみがえる。
忘れたいのに、忘れられない。
あの日の彼女は、きっと俺よりもずっと先に大人になっていたのだ。