ひと夏の経験、五つの誘惑
25歳にして、彼女なし。元カノと別れてからもう一年。

この一年、誰の肌にも触れていない。

そんな自分が、よりによって女子高生に――考えただけで背筋が冷える。教師として最低だ。

「ごめん、水橋。もう放れて。」

声は出したのに、神奈の腕は離れない。

それどころか、制服の胸元から伝わる柔らかさに、身体が正直に反応してしまっていた。

やばい。このままじゃ、もし誰かに見られたら冗談じゃ済まない。

焦って距離を取ろうとした瞬間、神奈の目が俺の下半身をとらえた。

そして――口元に、楽しそうな笑み。

「……私で興奮してるんだ。」

挑発めいた囁きに、喉がカラカラになる。

次の瞬間、神奈の細い指が俺のベルトにかかる。

「おい、やめろ……」

情けないほど弱い声しか出なかった。

本当に、やばい。このままじゃ理性なんて、簡単に吹き飛ばされる。
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