憧れの専務は私の恋人⁉︎
9.断れないお見合い※
「専務、社長がお呼びです。」
星矢さんに呼ばれて社長室へ向かうと、父は険しい顔をして書類を見ていた。また何かの代行かと思ったが、どうやら違うようだ。
「なにかあったのですか?」
「お前に見合いの話が来ている。」
父は詩織と交際していることを知っている。中々認めてくれなかったけれど、何度も説得して公認されていると思っていた。
「俺には恋人がいます。ご存知ですよね。」
「わかっている。だが、今回の見合いを断ることはできない。」
父の額にうっすら汗が滲んでいる。父の表情から察するに、見合いを申し入れてきたのが太刀打ちできない相手だということは容易に想像がついた。
「相手は誰なのですか?」
「……早川財閥のご令嬢だ。」
「早川財閥!?」
早川財閥は最大の出資者。撤退されたら会社が傾いてしまう。
「どうして急に見合いなんて……」
「私にもわからない。だが、断ることができないということはわかるよな?」
それはわかる。だけど──
「見合いの相手は、早川麗華さんですよね?」
「そうだろうな。」
早川財閥の令嬢と言えば、さまざまな事業を担う敏腕社長の早川麗華。しかも先日事業拡大を発表したばかりで多忙なはずだ。そんな人が、出資先の専務である俺を結婚相手に選ぶのは不自然だ。
「詳しいことはわからないが、おそらくただの見合いではない。私も同席するように言われている。」
「父さんも!?」
これは絶対に見合いじゃない。会社の経営状況と、出資先としての適性を見るつもりだ。そのついでに次期社長の素質を見るというところだろう。
「見合いは今週の土曜日だ。失敗は許されない。準備をしておけ。」
「……わかりました。」
俺は静かに社長室を出た。
星矢さんに呼ばれて社長室へ向かうと、父は険しい顔をして書類を見ていた。また何かの代行かと思ったが、どうやら違うようだ。
「なにかあったのですか?」
「お前に見合いの話が来ている。」
父は詩織と交際していることを知っている。中々認めてくれなかったけれど、何度も説得して公認されていると思っていた。
「俺には恋人がいます。ご存知ですよね。」
「わかっている。だが、今回の見合いを断ることはできない。」
父の額にうっすら汗が滲んでいる。父の表情から察するに、見合いを申し入れてきたのが太刀打ちできない相手だということは容易に想像がついた。
「相手は誰なのですか?」
「……早川財閥のご令嬢だ。」
「早川財閥!?」
早川財閥は最大の出資者。撤退されたら会社が傾いてしまう。
「どうして急に見合いなんて……」
「私にもわからない。だが、断ることができないということはわかるよな?」
それはわかる。だけど──
「見合いの相手は、早川麗華さんですよね?」
「そうだろうな。」
早川財閥の令嬢と言えば、さまざまな事業を担う敏腕社長の早川麗華。しかも先日事業拡大を発表したばかりで多忙なはずだ。そんな人が、出資先の専務である俺を結婚相手に選ぶのは不自然だ。
「詳しいことはわからないが、おそらくただの見合いではない。私も同席するように言われている。」
「父さんも!?」
これは絶対に見合いじゃない。会社の経営状況と、出資先としての適性を見るつもりだ。そのついでに次期社長の素質を見るというところだろう。
「見合いは今週の土曜日だ。失敗は許されない。準備をしておけ。」
「……わかりました。」
俺は静かに社長室を出た。