美人の香坂さん、酒は強いが恋愛は最弱
二人で飲んで食べて話していると、声が聞こえてきた。
「いつ見ても美男美女~」
「お似合い~」
座敷の八木君たちと一緒に飲んでいる女の子たちだろう。
「聞こえた?美男美女だって」
とにやりと笑うと、
「よう見ると似てる顔なんじゃけどな」
「いやいや、亮太郎はじいちゃん似じゃん。
私はお母さん似じゃろ?」
「目だけな。 基本のパーツはおばちゃんじゃなくて、じいちゃんじゃろ」
「あんなにやかましくない」
「顔の話じゃないんかい」
私とと亮太郎は従兄妹だ。
私達はものすごい田舎に住んでいた。どの位って小学校の全校生徒が15人前後だったくらいの田舎。
父親と母親が兄妹な上、母親同士も友達だったから、いつも亮太郎と私は一緒にいることが普通だったし、周りからも兄妹のように扱われていた。
私が高校生になると亮太郎は大学進学で上京していった。
いつも一緒にいる“お兄ちゃん”は学業と遊びとバイトに明け暮れて、田舎にはほとんど帰ってこなかった。
そして高校を卒業した後は当たり前のように、亮太郎と同じ大学に進学した。
お互いいい大人なのだからいい加減に「従兄妹離れ」をした方がいいのかなとも思うが、子供の頃から兄妹のように育ってきたのだから、今更離れるのもわざとらしい。
互いに互いがいない生活が考えられないほど、二人はずっと一緒にいた。
でも、それは周りの人たちが言うような「彼氏彼女」ではないのだが、勝手に誤解するのをいいように利用しているところがあるのも事実だ。
そんなことを考えていたら熱燗の徳利が2つ出てきた。
「熱いから気を付けてくださいねー」
と注意されていたのだが、先程迄のぬる燗の気分で徳利を持ってしまった。
「あつっ」
慌てて手を放し、その熱さに驚き目を丸くした。
「大丈夫か?!」
亮太郎は優子の手を持ち、火傷がないか確認して優子の顔を見た。
優子は目を見開いたまま固まって、熱かったアピールをしてみせた。
「ははっ変な顔だなぁ!」
「失礼なっ!」
「気をつけろよな。 ほれ、かしてみろ」
そう言って亮太郎は徳利を奪った。
ここからは徳利を持つのは亮太郎の役目になり、この日優子が徳利を持つことはなかった。
・・・亮太郎は過保護だ。
そんな二人の様子は座敷から見ている同期君や八木たちの集団からは恋人同士がイチャイチャしているようにしか見えないらしく、キャーキャーと騒がしかったが、いつものことだと放って二人で飲みまくった。
二人を見ながら八木君が小さく唇をかんだことも、じっとこちらを見ていることも優子は気づかないのだった。
「いつ見ても美男美女~」
「お似合い~」
座敷の八木君たちと一緒に飲んでいる女の子たちだろう。
「聞こえた?美男美女だって」
とにやりと笑うと、
「よう見ると似てる顔なんじゃけどな」
「いやいや、亮太郎はじいちゃん似じゃん。
私はお母さん似じゃろ?」
「目だけな。 基本のパーツはおばちゃんじゃなくて、じいちゃんじゃろ」
「あんなにやかましくない」
「顔の話じゃないんかい」
私とと亮太郎は従兄妹だ。
私達はものすごい田舎に住んでいた。どの位って小学校の全校生徒が15人前後だったくらいの田舎。
父親と母親が兄妹な上、母親同士も友達だったから、いつも亮太郎と私は一緒にいることが普通だったし、周りからも兄妹のように扱われていた。
私が高校生になると亮太郎は大学進学で上京していった。
いつも一緒にいる“お兄ちゃん”は学業と遊びとバイトに明け暮れて、田舎にはほとんど帰ってこなかった。
そして高校を卒業した後は当たり前のように、亮太郎と同じ大学に進学した。
お互いいい大人なのだからいい加減に「従兄妹離れ」をした方がいいのかなとも思うが、子供の頃から兄妹のように育ってきたのだから、今更離れるのもわざとらしい。
互いに互いがいない生活が考えられないほど、二人はずっと一緒にいた。
でも、それは周りの人たちが言うような「彼氏彼女」ではないのだが、勝手に誤解するのをいいように利用しているところがあるのも事実だ。
そんなことを考えていたら熱燗の徳利が2つ出てきた。
「熱いから気を付けてくださいねー」
と注意されていたのだが、先程迄のぬる燗の気分で徳利を持ってしまった。
「あつっ」
慌てて手を放し、その熱さに驚き目を丸くした。
「大丈夫か?!」
亮太郎は優子の手を持ち、火傷がないか確認して優子の顔を見た。
優子は目を見開いたまま固まって、熱かったアピールをしてみせた。
「ははっ変な顔だなぁ!」
「失礼なっ!」
「気をつけろよな。 ほれ、かしてみろ」
そう言って亮太郎は徳利を奪った。
ここからは徳利を持つのは亮太郎の役目になり、この日優子が徳利を持つことはなかった。
・・・亮太郎は過保護だ。
そんな二人の様子は座敷から見ている同期君や八木たちの集団からは恋人同士がイチャイチャしているようにしか見えないらしく、キャーキャーと騒がしかったが、いつものことだと放って二人で飲みまくった。
二人を見ながら八木君が小さく唇をかんだことも、じっとこちらを見ていることも優子は気づかないのだった。