美人の香坂さん、酒は強いが恋愛は最弱
優子の隣に座っている八木君に目をやると右の目をピクリと動かし、見下ろした。
八木君はにこやかに立ち上がると、
「お疲れ様です。口田課長」
「お疲れ、八木さん」
なぜだろう、二人の間にブリザードがが発生している?
しかし、互いに名前を知っているところを見ると顔見知りなのだろうか?
「二人とも知り合いなの?」
と尋ねると二人ともがこちらを見て、亮太郎はあきれ顔で、八木君はにこやかに言った。
「俺、人事だぞ」
「人事課長ですから」
あ、そうか。
「ではこれで」と席に戻ろうとする八木君に声をかける。
「助けてくれてありがとうございました」
「いえいえ。 香坂さんとお話でして楽しかったです。
来週から、よろしくお願いします」
さわやかイケメンの笑顔の破壊力はなかなかだな。
なんてことを思っていたら、ポンっと頭に手を置かれた。
「助けたって?」
亮太郎の目からはブリザードは消えて、いつもの優しい表情に戻っていた。
「ああ、さっきね」
と先程の出来事の説明をした。