美人の香坂さん、酒は強いが恋愛は最弱
口田にここまでの感想を聞かれ、空気を読んで話を振っていたところを褒められた。
お礼を言いつつ、視線は香坂優子を追っていた。
彼女は人の意見を否定ばかりしていた奴のところへ行ってにこやかに話している。

「気になる?」
「え?」

口田は香坂優子たちの方を目で合図した。

「香坂・・・指導社員の香坂は、あの新人君のフォローしているんだよ」
「フォローですか?」
「そう。みんなの前で否定するなって注意しちゃっただろう?
厳しい入社試験を突破してここにいるんだ。
ある程度高い学力があるはずだし、プライドが高いことは君も想像できるでしょ。
さっき壊されたプライドを作り直す。
その上でこうすればより良いっていうアドバイスをする。
多分今頃奴のいいところを褒め殺してるとこだろう。
そうだな・・・自分の意見を恐れず自信をもって言うところは素晴らしいとかなんとか。
とはいえ、そろそろ香坂さんが危ないから助けてくるよ」
「危ない?」
「そう。彼の顔が赤くなってる」
とにやりと笑うと、
「こういう時、男って惚れちゃうものだろう?」
というと立ち去って行った。

口田は香坂優子達の間に自然と立った。
その左手は彼女の背に回っていて、二人の親密さをそれとなくあらわしていた。


俺はもやっとするようないら立ちを感じるのだった。
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