美人の香坂さん、酒は強いが恋愛は最弱
「おい、八木。優子は俺のかわいいかわいい妹だ。泣かせるなよ」
「はい。もちろんです」
「ちょっと、亮太郎。恥ずかしいこと言わないでよ。
私ももういい大人なんだから」
八木の横でにこにこと笑っている優子を見て、優子と俺の関係を八木に伝える。

「ちっちゃい時の優子はそりゃもう、かわいかったぞー。
忙しい時には優子に哺乳瓶を飲ませたりもしてたし。
お風呂も俺と入って洗ってやってたし。
絵本も読んでやったし、靴ひもの結び方を教えたのも俺だったな。
ほんっとにかわいかったんだよー」
「一緒にお風呂、ですか?」
「いいだろ?」
「これから・・・」
「ふざけんな」
「はっ!」

一緒にお風呂はまだなのか。などと最低なことを考えつつ、とっておきの情報を与えることにする。

「いいことを教えてやろう」
「なんですか?」

「優子は尻にほくろが並んで2つあるんだ」
「は!?見たんですか!?」
「風呂入れてたって言ってるだろ。そりゃ見るさ。
それでもって、実は俺もある」

「ちょっと!!何言ってんの?!最低ー!!」
優子は顔を赤くした。
「さっきから亮太郎、お父さんみたい!」

「せめてお兄ちゃんと言ってくれ。
それでさ、優子は村中のみんなから可愛がれてたんだよ。
赤ちゃんのころから愛想がよかったらしくて。
誰が抱っこしても泣かないで笑うわけ。
そんなんだから村中のじいさんばあさん連中のアイドルさ。
俺はみんなから『お兄ちゃんなんだから守ってやれ』って言われ続けてた。
気が付いたら守るのが俺の役目だと思ってた。
まあ、やってることはただのお世話係でいいように使われてたんだけどさ」

八木は俺の目をじっと見つめて話を聞いていた。

「これからは、俺が守ります」
八木はしっかりとした口調で話した。

「いやいや、守ってもらう気ないからね」
間髪入れずに優子が言ってくる。
「えー。守らせてほしいんだけど」
「守ってもらうほど子供じゃないし、しっかりと自立してます」
二人でやいうやいと話す様子に俺はホッとしていた。



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