亡国の聖女は氷帝に溺愛される
◆
目を開けると、見慣れた天井が視界いっぱいに映った。
セシルに担がれるようにして、自室に戻ってきた記憶がある。その時、何故か傍らにルーチェが居たことも。
ゆっくりと身体を起こすと、ベッドの右側にルーチェが突っ伏していた。今もなお感じる熱を辿るように右手を見ると、ルーチェに握られている。どうやらヴィルジールの右手を握ったまま眠っているようだ。
(……光を灯した者がまことの聖女、か)
ヴィルジールはルーチェの手を握り返した。そして、反対側の手を伸ばして、ルーチェの髪にそっと触れる。
ソレイユと同じ、白銀色の髪だ。だがルーチェの髪は元は別の色だった。ヴィルジールの傷を癒した時に、彼女の髪は今の色に染まった。
ふと、初めてルーチェを見た日のことを思い出す。両手を後ろで縛られ、床に転がされていた時のことを。
あの日、あの時──ルーチェの髪色は、ヴィルジールの目には黒色に映っていた。それは夢に出てきたソレイユが髪色を変え、消えてしまったあの瞬間と重なる。
「……ひとつも似ていないのに、あの日のお前と重なって見えたのは、何か意味があるのか」
ヴィルジールは目を閉じた。
夢の中で少年が見たソレイユは、必死に訴えているようだった。そして剣ともう一つ、布に包まれた何かを少年に渡し、髪色は変わり──彼女は消えた。
ソレイユとルーチェ。ふたりの共通点は聖女であることと、髪色が変わったことだけだ。ただそれだけなのに、二人が並んだ姿が頭にこびりついて離れない。
目を開けると、見慣れた天井が視界いっぱいに映った。
セシルに担がれるようにして、自室に戻ってきた記憶がある。その時、何故か傍らにルーチェが居たことも。
ゆっくりと身体を起こすと、ベッドの右側にルーチェが突っ伏していた。今もなお感じる熱を辿るように右手を見ると、ルーチェに握られている。どうやらヴィルジールの右手を握ったまま眠っているようだ。
(……光を灯した者がまことの聖女、か)
ヴィルジールはルーチェの手を握り返した。そして、反対側の手を伸ばして、ルーチェの髪にそっと触れる。
ソレイユと同じ、白銀色の髪だ。だがルーチェの髪は元は別の色だった。ヴィルジールの傷を癒した時に、彼女の髪は今の色に染まった。
ふと、初めてルーチェを見た日のことを思い出す。両手を後ろで縛られ、床に転がされていた時のことを。
あの日、あの時──ルーチェの髪色は、ヴィルジールの目には黒色に映っていた。それは夢に出てきたソレイユが髪色を変え、消えてしまったあの瞬間と重なる。
「……ひとつも似ていないのに、あの日のお前と重なって見えたのは、何か意味があるのか」
ヴィルジールは目を閉じた。
夢の中で少年が見たソレイユは、必死に訴えているようだった。そして剣ともう一つ、布に包まれた何かを少年に渡し、髪色は変わり──彼女は消えた。
ソレイユとルーチェ。ふたりの共通点は聖女であることと、髪色が変わったことだけだ。ただそれだけなのに、二人が並んだ姿が頭にこびりついて離れない。