兄弟の溺愛に堕ちて
「ああ、美咲!」

息もできないくらいに、強く抱きしめられた。

「これ以上は、俺が持たない。」

真剣な眼差しで見下ろされて、胸が跳ねる。

「か、帰ろう。送っていく。」

「でも、まだパーティーが——」

言いかける私に、一真さんは迷わずジャケットを脱ぎ、私の肩にかけてくれた。

「ごめん。……首筋に、キスマークをつけてしまった。」

「ええっ⁉」

頭が真っ白になる。

「そんな姿、他の男に見せられるわけがない。」

かぁーっと顔が赤くなった。

どうしよう……心臓が爆発しそう。

「襟を立てて、すぐ会場を後にして。外に出たらタクシーを呼んで。」

低い声で指示されると、まるで従うしかない。

「は、はい……」
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