兄弟の溺愛に堕ちて
「……蓮。」

一真さんの目が冷たく光った。

「これが答えだ。」

次の瞬間、私の腕をぐいと引き、エレベーターの中へ押し込んだ。

扉が閉まる寸前、蓮さんの絶望に揺れる目が見えた。

エレベーターの扉が閉まると同時に、私はこらえきれず涙をこぼした。

「泣くな……美咲。」

低く囁きながら、一真さんの腕が私を強く包み込む。

「俺がすべて引き受ける。お前の傷も、苦しみも、全部。」

胸が熱くなって顔を上げると、一真さんの目が真っ直ぐに射抜いてくる。

「蓮に遊ばれた痛みも、俺が癒す。」

「……ううん。」

私は必死に首を振った。

「遊ばれてなんか、いない。蓮さんは……私を愛してくれた。いつも、優しく……」

次の瞬間、ぎゅっと腕の力が強まった。

骨がきしむほどに抱きしめられ、耳元に怒鳴り声が落ちる。

「それが、あいつの常套手段なんだよ!」
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